歴史を飾った女性の指輪

全ての指輪には、なにかしらドラマがあり、魔力にも似た不思議な力が宿されているようにも思えます。指輪にまつわる民話や伝説など世界中に様々な形で伝えられ残っています。指輪の物語は、空想の世界にだけあるということでもありません。歴史上の人物と関わる指輪には、西洋だけでなく東洋の有名な人物伝にしばしば指輪の逸話が登場します。

このように女性にとって指輪は、なんとなく身につけている装飾品という意味と、指輪に込められたなにかしらの想いが詰まった記念品と呼べるものなのでしょう。歴史上に登場する著名な女性は、古代ローマからハリウッドスターまで、美の象徴、あるいは富と権力の証(あかし)という意味で、指輪を身につけていたのではないでしょうか。

婚約指輪や結婚指輪ともなれば、なにかしらのドラマが潜んでいます。

19世紀半ばに結婚したビクトリア女王は、2匹の蛇が向かい合うスネークリングを婚約指輪としてアルバートザクセン=コーブルク=ゴータ公子から贈られています。そのスネークリングにまとわり付く蛇の頭と目にはダヤモンドが埋め込まれていました。婚約指輪のデザインとして、ヘビがデザインされているなど、日本人の感覚ではなかなか想像できませんが、王国を背負う女王とすれば、権威を象徴する指輪に蛇を選ぶ何かしらの意図があったことは想像できます。

その時代に木目金の指輪があれば、その唯一有無の手作りの結婚指輪として選んでいただけたのではないかと想像してみました。