文系の彼女に教えたい金属の不思議

通説ですが、女性は光物に弱いということを聞きます。平たく言えばキラキラ光る宝石や美しく金色に光るゴールドが好きということです。宝石売り場のショーケースに陳列されている結婚指輪を食い入るように覗いている彼女を、助け出すために、声をかけてあげるのが紳士というものです。日頃は彼女自身が一番眩しい存在であるはずなのに、宝石と遭遇すると魂を抜かれるのは、光物の呪縛に囚われているためでしょう。冒頭にも書いたキラキラの原理を説明してあげて、ぜひ販売価格8桁の呪縛から解き放って下さい。

まず、ダイヤモンドがキラキラ光る理由は、透明な鉱石(ダイヤモンド、水晶、ルビーなど)の中で、ダイヤモンドの屈折率が一番高く、光を広く分散させるためです。金や銀、あるいはプラチナが光る理由はやや難しいです。金属が光るためには、光源(光を発する源)が必要です。当たり前ですが、真っ暗な部屋では金も光りません。その光源から出ている光をどの程度反射しているか≒光の反射率が高いということで輝きは決まります。

なぜ金属の反射率は高いのでしょう?それは、電気の通り易さと関係があります。ご存知のようにコンピュータに搭載されているICチップの回路を繋ぐために、金の糸が使われていることでも分かります。もう一歩進んで金属キラキラの理由を解説すると、金属の表面に高密度の自由電子が動いているためです。光は電磁波であり、光が金属の中に入ろうとすると金属の自由電子が光の波をブロックし、跳ね返すのです。ラジオを金属の箱の中に閉じ込めると、聞こえなくなるのと同じ現象です。これを「自由電子による遮蔽」と言います。さあここまで説明してあげれば、きっといつもの冷静な彼女に戻るはずです。

とはいえ、光り輝いているものを前にすると虜になってしまいますね。しかし、結婚指輪選びには、光の度合いではなく、別の角度から価値を判断してみるとまた違った結果となるのではないでしょうか。

手入れの足りない台所のシンクと掃除の行き届いてピカピカのシンクとは、同じものでも印象が違います。もしも、それが代々から受け継いだ鋳物のシンクだとしたらどうでしょう。本当の価値は、そのものの意味が大切であるということに気づくのでは?冷静になった彼女を、木目金の結婚指輪と出会わせてみませんか。