時代が産んだ芸術品

一口に日本の工芸品と言っても、その製品が作られるようになった時代背景や風土は様々です。日本の場合は、北は北海道から南は沖縄まで縦に長い国土ですから多様な特徴を持っています。

北の盛岡に伝わる南部鉄器は、約400年前に南部藩で生まれました。藩が全国から鋳物師や釜師を召抱えたという背景とともに、厳しい冬の寒さを暖かくしたいという地理的要因があったことも当然想像できます。

その後手作りの鉄器は、様々な用途に応じて、茶釜から日用品にいたるまで製造されるようになり、全国へと普及していきます。一方九州の佐賀県有田に伝わる有田焼のルーツは、立地条件とその地域の歴史が出会って生まれた製品と言えます。逆上ること安土桃山時代、慶長の役(1597〜1598年)で、豊臣秀吉とともに李氏朝鮮へ出兵した九州の鍋島軍は、引き上げの際に朝鮮陶工の李参平を日本へ連れ帰ります。その後日本で磁器を作るようになった彼が、たまたま立ち寄った有田の町で磁器に適した土を発見したことが、今日の世界ブランドとなった有田焼のルーツとなります。

このように偶然もしくは必然として、時代の中で名品は生まれるのです。私達はそのような歴史の中で育まれた手作りの品々を、例えば木目金という日本の武士から生まれた日本独特の技法を、美しい芸術品として今の時代に蘇らせ、皆様に広く知っていただきたいと考えています。結婚指輪や装飾品として、時代が産んだ素晴らしい手作りの逸品を身につけていただきたいと願っています。