―木目金の結婚指輪は「育てる」ジュエリーです―

◆「使うほどに味わい深くなる」それが木目金

木目金(もくめがね)の結婚指輪は、何層にも重ねられた異なる金属が削り出されて生まれる、唯一無二の模様が魅力です。

でも、購入当初のツヤや色合いをずっと保てるのか不安…という声もよく耳にします。

結論から言えば、**木目金の指輪は「傷つけないように保管するもの」ではなく、「使いながら育てていくもの」**です。
だからこそ、日々のお手入れや考え方ひとつで、時間とともに深みのある輝きを楽しむことができます。

本記事では、**木目金ならではの特徴を活かした“育てるお手入れ法”**を、丁寧にご紹介します。


◆ 木目金指輪のお手入れ、5つの基本

① 着用後は柔らかい布で軽く拭く

汗や皮脂が模様の溝に溜まると、くもりや変色の原因に。
外した後は、メガネ拭きやセーム革など柔らかい布で軽くひと拭きする習慣を。

② 水洗い+中性洗剤でやさしく

1〜2週間に一度、ぬるま湯に中性洗剤を数滴入れて、やわらかい歯ブラシでそっと洗うと清潔を保てます。
※模様に研磨剤などは使わないこと!

③ 化学薬品には要注意

温泉や強めの洗剤(漂白剤など)は金属を変色させる可能性があります。
料理や掃除の際はなるべく外すのがベター。

④ 長期間使わないときは乾燥材と保管

使わない期間が続くときは、指輪をジュエリーボックスに入れ、乾燥剤を同封して保管を。
※空気中の湿気で酸化やくもりが進む場合もあります。

⑤ 年1回の「工房メンテナンス」でリセット

購入店や作家の工房で、年に一度のクリーニング・表面再処理を行うことで、模様を美しく保てます。
多くの工房では磨き直しが初回無料、または有償でも数千円程度です。


◆ 「美しさ」ではなく「風合い」を楽しむ

木目金の指輪は、鏡のようなツヤを永遠に保つものではありません。
日々の摩擦、酸化、手の温度や汗、それらのすべてが模様の層に表情を与えていきます

まるで革製品のエイジングのように、使い込むことで生まれる風合いこそが“美しさ”であるという考え方が、木目金には似合っています。

たとえば:

  • 銀の部分だけが少しくすんでくる
  • 赤銅やピンクゴールドの色味が深みを増す
  • 細かな擦り傷が柔らかな光沢を生む

それらは「劣化」ではなく、共に過ごした年月の証として刻まれていくのです。


◆ 模様が見えにくくなったときの対処法

「最近、模様がぼやけてきた気がする」
そんなときは、煮色仕上げやイブシ仕上げなどの再着色処理で模様を際立たせることが可能です。

多くの木目金工房では、購入後でもこうした加工を追加オーダーで施すことができるため、長年使って“落ち着いた風合い”が出てきたタイミングで再加工するのもおすすめです。


◆ よくある質問

Q. 指輪を傷つけたくないので、あまり着けない方がいいですか?
→ いいえ。木目金はむしろ**“使うことで完成していく”指輪**です。日常的に使ってこそ味わえる変化を楽しんでください。

Q. 光沢を保ちたい場合、自宅で研磨しても大丈夫?
→ 研磨剤入りのクロスは避けた方が安心です。使うなら超微粒子タイプで軽く拭くだけにとどめ、定期的に専門店で磨いてもらうのがベストです。

Q. 毎日着けても大丈夫な素材ですか?
→ 多くの木目金はプラチナや金、銀などを用いた合金構造で、強度は十分。ただし、激しい衝撃や化学薬品には注意が必要です。


◆ まとめ:手間ではなく、“手間をかけた記憶”を残す

木目金の結婚指輪は、磨けば新品のように戻るかもしれません。
でも、使い続けることでしか生まれない美しさがあるのも事実です。

傷やくもりすらも、二人の時間を映す景色の一部として受け入れながら、時折やさしく整えてあげる。
それが、木目金と暮らす楽しさであり、“お手入れの極意”です。

どうか、あなたの指輪にも、あなただけの風合いが刻まれていきますように。


✍️ 監修・執筆:高田邦雄
《京都・古門前通 工房より》