―一生に一度の結婚指輪だからこそ、知っておきたい5つのこと―


◆ はじめに:木目金の魅力は「選ぶ楽しみ」にあり

木目金(もくめがね)の結婚指輪は、伝統技術と現代の感性が融合した、まさに世界に一組しかない指輪です。
同じ模様はふたつとできず、その「唯一無二の個性」が魅力ですが、それゆえに購入前に知っておくべき選択肢やポイントも多くあります。

今回は、木目金職人や購入者から寄せられる実際の声を元に、後悔しないために事前に知っておくべき5つの重要なポイントをご紹介します。


1. 継ぎ目あり?継ぎ目なし?模様が一周つながるかどうかを確認しよう

木目金を選ぶ上で、最も大切なポイントのひとつが、**杢目模様に“継ぎ目があるか、ないか”**です。

▸ 継ぎ目あり:

通常の木目金は、板状の模様を丸めて指輪状に成形するため、模様のつなぎ目が1ヶ所に出ます
この方法は比較的安価で、製作期間も短縮できます。

▸ 継ぎ目なし:

一方、模様を一周つなげる“継ぎ目なし”の指輪は、高い技術と工程数が必要で、制作に時間とコストがかかります。
ただし、仕上がりの美しさと自然な一体感は格別。模様の流れが止まらない「永遠性」の象徴とも言える仕上がりです。

⚠ 注意ポイント:継ぎ目なしは特に希望を伝えないと通常の継ぎ目ありで作られるケースが多いため、注文時に必ず確認しましょう。
職人の髙田も「言われなければ継ぎ目ありで製作してしまいます」と語っています。


2. 内側も木目金?外側だけ?「全杢目金仕上げ」にするかの選択

木目金の結婚指輪は、外側のデザインだけでなく、内側にも杢目模様を施せる工房もあります。

▸ 外側のみ杢目金:

一般的な仕様。模様が見えるのは外側だけで、内側は金やプラチナの無地仕上げになります。

▸ 内側も杢目金:

より希少なオプション。外側と内側の両方に杢目模様が入るため、指輪全体が一体化した芸術品のような印象に。

内側にも模様があることで、着けた本人だけが分かる美しさを楽しめます。
「見えない部分にこだわりたい」「お守りのように身に着けたい」方にはおすすめです。


3. 模様の種類は?自分たちの想いに合ったパターンを選ぼう

木目金にはさまざまな模様のパターンがあります。
例えば:

  • 渦杢(うずもく):中心から広がるような模様。年輪や水の流れのようで、成長や永遠を象徴。
  • 柾目(まさめ):まっすぐ流れる木目調の模様。誠実さや清らかさのイメージ。
  • 玉杢(たまもく):不規則に現れる玉状の模様。個性や自由な発想の象徴。

模様にはそれぞれ意味や印象があるので、自分たちらしいものを選ぶことが、愛着につながります。


4. 色の組み合わせと“コントラスト”を意識しよう

木目金は複数の金属を重ねて作るため、素材の選び方によって模様の印象が大きく変わります。

例:

  • ホワイトゴールド × シルバー:落ち着いたトーン。控えめで洗練された印象。
  • ピンクゴールド × シルバー × イエローゴールド:温かみと華やかさを兼ね備えた組み合わせ。
  • 黒味銅(しょくみどう)× 赤銅(しゃくどう)× 銀:渋めで伝統的な色味。和の趣を強く感じさせる。

色味を抑えると上品に、コントラストを強めると模様がよりくっきりと浮かび上がります。
写真だけでは分かりづらいため、実物を見比べて選ぶのがベストです。


5. 表面仕上げも大切!光沢・マット・槌目仕上げなど選択肢を確認

同じ模様でも、「表面の仕上げ方」によって指輪の印象はガラリと変わります。

  • 鏡面仕上げ(ピカピカ):上品でフォーマルな印象。模様が繊細に見える。
  • マット仕上げ(ツヤ消し):柔らかで温かみのある質感。指なじみが良い。
  • 槌目仕上げ(つちめ):金槌で打った模様が残る個性的な表情。手仕事感が強く出る。

木目金ならではの“揺らぎ”を活かすなら、マットや槌目との相性が抜群です。


まとめ:自分たちらしい「意味」を宿す指輪を選ぼう

木目金の結婚指輪は、ただの装飾品ではありません。
それは、ふたりの人生を象る模様であり、**時間を重ねるごとに味わいを増す“育つ指輪”**です。

だからこそ、購入前には以下のポイントをしっかり押さえておきましょう:


✅ 木目金を選ぶときの5つのチェックリスト

  1. 継ぎ目がある or ない?(模様が一周つながるか)
  2. 内側も木目金にする?(全体一体型にするか)
  3. 模様の種類は?(渦・柾・玉など)
  4. 色の組み合わせは?(落ち着き系 or コントラスト重視)
  5. 表面仕上げは?(光沢、マット、槌目など)

一生に一度の指輪選び。
その工程までも、大切な思い出にしていただけたら嬉しく思います。


✍️ 執筆・監修:高田邦雄
《京都・古門前通 工房より》