【書籍レビュー】
『金工の伝統技法』理工学社刊【初版 1986年5月1日】

書籍概要と内容紹介

『金工の伝統技法』は、日本の伝統的な金工技術を体系的に解説した名著であり、特に木目金(もくめがね)を制作するにあたって土台となる多彩な技法を詳細に紹介しています。著者陣には、髙田邦雄も20代前半時に大変お世話になり、尊敬する「井尾敏雄先生」が名を連ねており、実践的かつ学術的な視点から金工の深淵を掘り下げています。私、髙田が21歳の時に初めて手にした本になります。


印象に残った技法

本書で特に印象的なのは、鍛金、彫金、着色技法の章です。木目金の制作に欠かせない鏨を扱う技術や工程が詳細にまとめられており、杢目金の研究や制作を志す人にとっては必読の内容となっています。木目金の模様形成や圧延の手法など、金工技術の核心部分を深く学べる貴重な資料です。


本書の特徴と優れている点

『金工の伝統技法』は、様々な伝統技法を包括的に解説している点が大きな特徴です。これにより、金属工芸全般に対する理解が深まるとともに、各技法の繋がりや応用方法も把握できます。著名な井尾敏雄先生の参与もあり、実際の制作現場に即した信頼性の高い技術解説が随所に光ります。


読者が得られる最大のメリット

本書を読むことで、木目金の真髄と伝統金工技術の本質が理解できます。杢目金をマスターしたい人には特に役立つ一冊であり、制作の際に気をつけるべきポイントや技術の基礎知識が丁寧に教示されています。また、伝統技法の知識を広げたい職人や研究者にも有益な参考書です。


まとめ

理工学社『金工の伝統技法』は、日本の伝統金工技術を体系的に学びたい人にとって、非常に価値の高い書籍です。実践的な技術解説と伝統工芸の深い理解が融合し、制作技術の向上に大きく貢献します。伝統工芸の継承と発展を志す方にはぜひ手に取っていただきたい名著です。