法隆寺
ピラミッドやパルテノン神殿のような人の手作りとしては、最高の技術が注がれた巨大な古代建造物は、数千年の時を超えても高く評価されています。日本においても千年を超える木造の建造物は、幾つもあります。広島湾に浮かぶ宮島に鎮座する厳島神社は、社伝によれば、593年(推古天皇元年)と記されていますので、少なくとも創建後1,400年を経ています。日本三景の1つに数えられている安芸の宮島は、高さ16mの大鳥居が海に立つ姿は、平家の興隆を思い起こさせます。「厳島神社」としてユネスコの世界文化遺産に登録されています。また創建された年が、607年(推古15年)とされている法隆寺も、1400年を超える歴史を誇る建築物です。しかも金堂や五重塔のある西院伽藍は、現存する世界最古の木造建築物群で、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に「法隆寺地域の仏教建造物」として登録されています。聖徳太子が創建したと伝えられる法隆寺は、建造物ばかりでなく阿弥陀如来を始めとする貴重な仏像も所有しています。阿弥陀像が手と指の形で結ぶ指輪は、印相(いんそう)と呼ばれ、悟りの内容や性格などの意味があります。指輪の形は、上品(じょうぼん)、中品(ちゅうぼん)、下品(げぼん)があります。手作りの仏像が持つ尊厳は、千年を超える時間を超えても私達に語りかけます。