様々な金属が辿り着く先

人間の先祖が二足歩行をし、人らしい生活をするようになった進化の中において、様々なマイルストン(特筆すべき事柄)がありました。

約50万年前に火を取り入れた生活を始めたこと、点々と住む場所を変える狩猟生活から植物を育てて収穫する農耕生活を始めるようになったことなど、他の動物とは劇的に違った暮らし方です。そして、今や現代に生きる私達は、自分の足以外で移動し、原始時代では全く口にすることもなかった地球の反対側で育てられた食物を口に運び、吠えることなく「文字」という記号によって相手に自分の考えを伝えることができます。このように人は、他の動物にはできないことを平然とやっています。

一万年前には手作りの器しかありませんでしたが、現在では壊れないプラスチック製の器や様々な素材の道具を扱うようになりました。この進歩ある生活を支えてきたのが、金属です。銅→青銅→鉄とより硬い金属を鉱石から精錬できるようになったことで、文明は高度な成長をとげます。食味の劣化を防ぐアルミニウム缶、軽量なチタンで作られる登山用品、電球のフィラメントとして使われるタングステンなど、発見した金属を製品として加工することで人の暮らしは変化しました。

江戸時代に考案された木目金も日本刀の鍛造の中から生まれた技術です。金属探求の歴史は、戦争に関わる歴史でもありますが、私達は限りなく幸せのために、先人の切り開いた技術を結婚指輪という幸せの極みのために使わせていただきます。