家族と共に幸せになるために

結納の時に初めて結婚する相手の親御さんと会うよりも、そこに至るまでの間に相手のお宅を訪問したほうが良いということはお話しました。訪問する際の服装や挨拶についてはお判りになったと思います。ここでは、相手のお宅訪問が、結婚後の生活に役立つメリットについてお話しましょう。

たとえば男性が婚約予定の女性の実家を訪ねる場合についてです。彼女にとっては、子供の頃から慣れ親しんだ家ですから、勝手は判っていますし、ごく自然にリラックスして振る舞えます。しかし彼にとっては見知らぬとまではいかなくとも、頻繁には訪れることがない場所ですから、戸惑うのが普通です。それが大切なのです。彼女の自然な立ち振舞は、結婚後の自然な彼女を想像するに十分です。それは、相手の実家を探偵するというような悪意ではなく、手作りの良い家庭を築く上での予習というスタンスと捉えて下さい。

彼女の家を訪問するもう一つのメリットは、彼女の家族と会うことで、結婚後の家族ぐるみの付き合いをスムーズにしてくれるという点です。逆に相手の家族に自分という人間を知ってもらう(売り込む?)チャンスでもあります。さて想定シュミレーションです。まず玄関では、靴の並び方や彼女がどのように靴をぬぐのかを見ます。各家で靴の置き方のルールはまちまちでしょうから、彼女に倣(なら)って振る舞えば良いでしょう。次にテーブルの椅子やソファーにかける時に、先に座るのではなく、少し待って、「さあ、こちらに座って下さい。」と勧められた席に座るのが無難です。

もし勝手に座った席が、彼女のお父さんの指定席だとすれば、微妙に「空気が読めない人」的な雰囲気になってしまいます。最大のポイントは、おトイレでしょう。長居をすれば自然現象でトイレを貸してもらうことになります。その時にサッサと用を足すのではなく、便座が下がっているのか、上がっているのかは最低限チェックしましょう。上がっているのであれば、自分が用を足した後に下げておきましょう。

女性にとって便座の上げ下げに無頓着な男性は、格が下がります。「たかが便座、されど便座」この点を押さえていれば、娘の婿候補はなかなかのものだと評価されます。相手の御家族は、結婚指輪の交換が済むと、ほんとうの家族になります。良いことばかりではないかもしれませんが、木目金の指輪に表れている美しい模様のように家族の交わりが重ねられると良いですね。