人間の歴史とは金属の歴史
金属の歴史の始まりといえば、紀元前5500年ごろのメソポタミア(西アジアのチグリス川とユーフラテス川の流域)で、銅の精錬が始まったころと学校で習ったかもしれませんが、実は人類と金属の関わりの始まりとは、金であった可能性が高いと考えられます。というのも武器や道具としての金属というよりは、装飾品としての金の歴史の方が古いのです。
自然界の金は、多くの金属のよう酸化されなかったため、ほぼ純粋な金属として存在していました。地球の地殻変動によって地表近くまで移動した金脈が、風水の浸食によって地表に現われます。更に侵食された金鉱ぬ含まれる金は、川の流れによって川下に運ばれます。そして下流の川底に溜まった金塊、あるいは砂金が人間に発見されます。その輝きに魅せられた人間は、集めた金塊や砂金をまとめ、叩く、あるいは削るなどして装飾品に加工しています。
この事実は、古い文明の出土品を調べれば一目瞭然です。金属の中でも柔らかい部類の金は、手作りの装飾品として加工しやすかったことも一因でしょう。その後文明が発達すると、金属の精錬法が発見され銅器、青銅器、鉄器などが作られます。今日では、チタン合金やステンレスなどの合金製造法が発明され、木目金など金属を加工する高度な技法もあみだされました。
人間の歴史は、金属と深く関わる歴史であると言っても過言ではないでしょう。